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HOME > コラム一覧 > 認知症と睡眠 / 更新日:2019年5月10日
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認知症と睡眠

認知症と睡眠

健康な高齢者であっても睡眠の問題は加齢に伴って増えていきますが、認知症の高齢者の場合では、睡眠に何らかの問題がある人は40~60%にも上るといわれています。睡眠に問題があることは本人の健康や生活に支障が出ることはもちろんですが、介護者にとっても大きな負担となりかねません。
良質な睡眠を確保するために、どのようなアプローチができるでしょうか。

睡眠は加齢とともに変化する

「お年寄りは早寝早起き」というイメージを持っている人は多いと思います。実際に高齢者は、若い人と比べると早寝早起きになる傾向があります。これは加齢によって起こる体内時計の変化で、睡眠に関係が深い血圧、体温、ホルモンの分泌などの生体リズムが、前倒しに早まってくるためです。これは誰にでも起こりうる変化であり、日常生活に支障をきたしていなければ特に問題はありません。

もうひとつの加齢に伴う睡眠の変化は、眠りが浅くなることです。高齢者の睡眠時の脳波を計測してみると、深い眠り(=ノンレム睡眠)が減って、浅い眠り(=レム睡眠)が増えるようになります。そのため、ちょっとした物音や尿意などで夜間に何度も目が覚めてしまうようなことが起きます。

高齢者に多い睡眠障害

加齢に伴う変化に加えて、生活リズムや生活環境の変化、疾患や服薬の影響なども睡眠には多く影響を及ぼします。生活習慣の見直しによって改善も期待できますが、中には治療が必要な、高齢者に発症しやすい睡眠障害もあります。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠中に10秒以上呼吸が止まることを「無呼吸」といいます。睡眠障害の一種で日中の強い眠気や集中力・記憶力の低下などの症状が現れ、高血圧症、不整脈、心筋梗塞、糖尿病などを合併するリスクも高まります。日中の活動低下は精神面にも悪影響を及ぼし、うつ病や認知症の発症や悪化につながるともいわれています。

肥満の人に起こりやすいイメージがあるかもしれませんが、原因は肥満だけではなく、アルコール摂取や鼻づまりの他、加齢も要因となります。高齢者に特徴的なのは、気道周辺の筋肉や組織の弾力性が低下するために、気道がつぶれて無呼吸がおこりやすくなる「閉塞型」の無呼吸症候群です。

覚醒しているときには気道周辺の筋肉の緊張が保たれているので、無呼吸になることはありません。しかし睡眠中は気道周辺の筋肉が弛緩するため、気道がふさがれることで呼吸が苦しくなります。眠っていても無意識のうちに呼吸を確保しようと、通常の何倍ものエネルギーを費やしているのですっきりと目覚められなかったり、日中に倦怠感や頭痛を伴うこともあります。加えて高齢者の場合は、無呼吸が原因で夜間の覚醒や頻尿、呼吸が苦しくなることへの恐怖感から抑うつなどの症状を発症することがあります。

睡眠時無呼吸症候群の対策と治療

肥満がある場合は体重を標準体重に落とす、アルコールは控える、仰向けやうつ伏せではなく横向きで寝る、などの対策はすぐに実行できます。しかし適切に効果的な対策をとるためには、医療機関を受診して原因を特定することが必要です。一般的な治療方法は、睡眠時にCPAPと呼ばれる装置を付けたり、やマウスピースの装着、扁桃肥大などの場合には外科的治療が必要な場合もあります。

レストレッグス症候群と周期性四肢運動障害

レストレッグス症候群は「むずむず脚症候群」とも呼ばれます。発症は加齢とともに増加し、高齢者に多く、女性の割合が高いとされています。その名前のように脚がむずむずして動かしたい衝動にかられますが、実際に歩いたり脚を動かすことで症状は一時的に消失します。症状は夕方から夜の安静時に強くあらわれやすく、就寝時にも症状が出やすいため、寝つきが悪くなったり、夜間を通して十分に熟睡できていないこともあります。

原因ははっきりしていませんが、脳内のドパミン神経系の働きに異常が生じるためという説が有力です。

周期性四肢運動障害は、睡眠中に数十秒ごとに腕や脚がピクピク動いたり、跳ねたりする症状が特徴です。通常は睡眠中に症状が起きても、短時間目が覚めていることに本人は気づいていないことが多いのですが、実際はぐっすり眠れていないため、日中の眠気や倦怠感を訴えることがあります。

レストレッグ症候群を発症している人は、周期性四肢運動障害を併発することが多くみられています。

鉄分の不足や、カフェイン・アルコール・タバコなどの摂取、特定の薬の影響によって症状が助長される可能性があるとされています。

レム睡眠行動障害

健康な人ではレム睡眠時は筋肉は脱力していますが、筋肉の脱力が生じないために、夢(多くは悪い夢)を見ているときに、夢の内容に合わせて実際に体を動かしている症状をレム睡眠行動障害といいます。寝言や大きな体動など、誰にでもありそうな症状から、重症化すると、叫んだり立ち上がったりするような激しい動きが出ることもあります。覚醒して夢から覚めれば動きは止まり、本人も「夢をみていた」と話しますが、就寝環境によっては怪我をしたり、一緒に生活している人を傷つける危険もあります。
レム睡眠行動障害は、レビー小体型認知症の前駆症状としてあらわれることがあります。

認知症の種類と睡眠への影響

現在、認知症の種類は60~70種類もあるといわれるようになっています。中には300種類以上という医師もいるほど、多くの原因と種類が確認されています。その中で、一般的に多くを占めるのが三大認知症と呼ばれるアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症です。

アルツハイマー型認知症と睡眠

アミロイドβというたんぱく質が脳の神経細胞に蓄積することが原因となり、神経細胞を破壊して脳が委縮することで発症します。記憶障害や見当識障害などの症状があり、比較的ゆっくりと進行していきます。

アルツハイマー型認知症では、比較的発症の早い段階から体内時計の細胞が死滅していくといわれており、睡眠と覚醒のリズムが乱れます。そして認知症の進行ととともに昼夜のリズムが壊れていき、いつ眠っていつ覚醒するのかの予測もつきにくくなることがあります。睡眠後の頻繁な覚醒や夜間覚醒、早朝覚醒、日中の強い眠気や倦怠感、日中の睡眠など、さまざまな症状があります。

脳血管性認知症と睡眠

脳梗塞や脳出血などの疾病によって、脳の細胞に酸素が送られなくなったことで神経細胞が死んでしまい、認知症を発症します。脳の損傷を受けている部分によって症状は異なります。脳血管性認知症が直接睡眠に影響を及ぼすというよりも、脳卒中の後遺症で麻痺が残った場合に、痛みやしびれなどが原因となって睡眠に障害がおきることが多くみられます。

レビー小体型認知症と睡眠

レビー小体という異常なたんぱく質の塊が大脳皮質や脳幹に蓄積して神経細胞を破壊します。幻覚や幻聴、パーキンソン様症状などが特徴的な症状です。比較的早い段階でレム睡眠行動障害がおきることがあります。

認知症の睡眠障害は周辺症状

認知症の睡眠障害は、本人も介護者にとっても、心身ともに疲弊する症状のひとつです。場合によっては、介護者の方が先に体調を崩してしまう恐れもある、困難な症状の一つといえます。

BPSD(行動・心理症状)とは

認知症の症状は脳の神経細胞が壊れることで生じる中核症状と、中核症状に他の性格や環境、心理状態などの要因が加わって生じるBPSD(行動・心理症状)があります。人によってあらわれる症状は異なり、介護者が対応に苦慮するのは中核症状よりもBPSDといえます。認知症による睡眠障害は、BPSDのひとつといえます。

BPSD(行動・心理症状)と中核症状の関係性
BPSD(行動・心理症状)と中核症状の関係性

昼夜逆転

認知症による昼夜逆転は、夜の睡眠が浅くなり昼寝が増えることから生活のリズムが不規則となっておこります。症状の出かたは性格や環境、心理状態などによっても変化するため個人差が大きいですが、夜中に活動的になって動き出したり、興奮して騒いだり、大きな声を出したりすることがあります。

せん妄

幻覚や幻聴の他、記憶があいまいになったり、会話のつじつまが合わないなど、本人も周囲も混乱する状況が起きます。不安感が大きくなり興奮しやすく、暴言や暴力が出ることもあります。認知症と併発することもありますが、認知症とは別に一時的に症状が出ることもあります。一時的なせん妄の場合は突然発症しますが、いずれ症状は解消します。

日没症候群

日中は穏やかに過ごしている人でも、夕方になると落ち着きがなくなり、そわそわと歩き回ったり、独り言を言ったり、興奮して声を荒げたりすることがあります。このように、認知症の人が夕方から夜にかけて不安な様子を示すことを「日没症候群」「夕暮れ症候群」などと呼びます。

睡眠障害の対処

以下は、厚生労働省が示す「健康づくりのための睡眠指針」です。

1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
3.良い睡眠は生活習慣病予防につながります。
4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5.年齢や季節に応じてひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11.いつもと違う睡眠には、要注意。
12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

厚生労働省の睡眠対策に関するページです。ご参考ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html

認知症の睡眠障害に有効な対策

残念ながら、現在は認知症に伴う睡眠障害に対して有効な薬物療法はありません。認知症のある高齢者の睡眠を保つためには、日中の生活習慣に配慮をしましょう。

日光を浴びる

睡眠はメラトニンとセロトニンというホルモンによってコントロールされています。起床時に日の光を浴びることでメラトニンの分泌が促進されて体内時計がリセットされます。必ずしも外に出る必要はありません。起床時には部屋のカーテンを開けて、外の光を入れましょう。

日中の活動量を確保と睡眠パターンの観察

規則正しい生活のリズムをつくるために、日中、特に午前中には活発に活動しましょう。心身の活動量が増えることで、夜もスムースに眠れます。掃除や洗濯などの家事や、買い物や散歩で外に出るなど、積極的に体と頭を使いましょう。日中はできるだけ横にならずに過ごし、昼寝をするときは午後の早い時間に、ごく短時間だけにしておきましょう。

夜間の睡眠のパターンを観察しておくことは、受診の際にとても役立つ情報となります。睡眠のパターンは個人差があります。夜になっても全く眠くならないのか、寝ついてもすぐに目が覚めてしまうのか、浅い眠りを繰り返しているのか、深く眠る時間はあるのか、などを知っておくとよいでしょう。

不安解消

不安な気持ちが睡眠に悪影響を及ぼすことは、誰にでもあることです。認知症の方は、日常的に不安を抱えていることが多くあります。寝る時間だからといって、真っ暗な部屋にひとりきりにされると、不安を助長することがあります。直接視界に入らない場所に間接照明をつけておいたり、足元灯をつけて出入り口がわかるようにしておくなど、睡眠を邪魔しない程度の明かりをとっておくと安心できる場合もあります。寝つくまでは、同じ部屋に誰かが一緒にいたり、少しの間、布団の中で話をすることで落ち着いて眠れることもあります。

就寝環境

寝室の温度や明るさなど、本人が心地よい環境を整えましょう。明るいと眠れない人もいれば、暗いと不安になる人もいます。寝具や寝間着も、体に馴染む動きやすいものを選びましょう。

痛みの対処

意外と気づきにくいのが痛みが原因の不眠です。関節痛がある場合、睡眠中に寝がえりをうつたびに痛みで目が覚めてしまうことがあります。横向きで寝ていれば痛みがなくても、仰向けは痛いなど、姿勢によって痛みがある場合も同様です。他にもリウマチの痛みや息苦しさなど、他者は気づきにくいことや本人が我慢していることもあります。睡眠の障害となっている痛みについてはかかりつけの医師に相談しましょう。

服薬の管理と調整

副作用として睡眠に影響を及ぼす薬もあります。医師の処方指示を確認し、服用量や服用時間、回数を守りましょう。特に複数の薬を常用していたり、同じ薬を長期間続けて服用しているような場合は、睡眠に薬が影響している可能性があるかどうかを、かかりつけの医師や薬剤師に相談してみましょう。

まとめ

認知症の人は、眠れない理由や原因を自分から正確に説明することが難しく、睡眠障害の原因が複数重なっていることもあるなど、その要因をみつけることもなかなか大変です。困った時には、かかりつけの医師や専門家に相談しましょう。

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