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高齢者の口腔ケア 実践編

作成日:2019年4月10日

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高齢者の口腔ケア 実践編

口腔ケアと歯みがきは何が違うのでしょうか。口腔ケアとはお口の中のお手入れ全般を指します。もちろん、歯みがきも口腔ケアです。口腔ケアを行うことで口の中を清潔に保つだけではなく、口腔機能を維持、向上することも目的のひとつです。

口腔ケア:器質的ケアと機能的ケア

口腔ケアは口の中の疾病予防と健康の維持増進を目的として行うもので、歯がなくても、口から食事が摂れない場合でも必要なケアです。口腔ケアはその目的別に2種類のケアに大別されます。

器質的口腔ケア

器質的口腔ケアとは、口腔内を清潔に保つために行うケアのことを指します。歯みがきや義歯の洗浄など、それぞれに適した道具を使用して口腔内をきれいにすることが目的です。

機能的口腔ケア

口腔機能を維持、向上するために行うケアのことです。だ液腺マッサージや嚥下体操などのリハビリ要素も含みます。

口腔ケアを始める前の準備

口腔ケアを介助で行う場合は、ケアを始める前に必要な準備がいくつかあります。口腔ケア時の事故を防ぎ、気持ちの良い口腔ケアができるようにしましょう。

声をかける

誰でも突然顔に触られたらびっくりします。歯科受診でもないのに、口に手を入れられたら怒るのも当然です。口腔内はデリケートゾーンです。日常的に人に見せる場所ではないことを理解しておきましょう。

初めに、食事の時と同じように覚醒の確認をします。呼びかけて口腔ケアを始めることを伝えます。ウトウトしていたり、しっかりと覚醒が確認できない場合はいったん中止し、時間をおいてから再度声をかけてみましょう。

リラックスする

歯科受診の時は、誰でも少し緊張します。同じように口腔ケアの場合も、口の中で何をしているかが見えないため、多少の不安感があることは当然です。また「痛くないかな?」と思うことで緊張したり、嫌な気持ちになったりすることもあります。

初めにこれから口腔ケアをすることを伝えて、使う道具を見せます。歯ブラシを見ると安心して口を開けていただけることもあります。笑顔で会話をすることから始めて、リラックスしていただきましょう

姿勢を整える

口腔ケアをすると、刺激によってだ液が出てきます。むせ込んだり、だ液の誤嚥を予防するために、姿勢を整えることが必要です。注意点は食事姿勢とほぼ同じです。いすまたは車いすに深く腰掛け、あごを引いた姿勢が保持できるようにクッションやタオルで補正します。腰(股関節)、膝、足首ができるだけ直角になるようにして、足底を接地すると座位が安定します。

ベッド上で口腔ケアをする場合は、ベッドをギャッジアップしてできるだけ上半身を起こします。あごを引いた姿勢がとれるように、後頭部や首の後ろに枕やクッションをあてて補正します。

口腔ケア:歯のケアについて

歯が1本でも残っている場合は、歯ブラシを使った歯みがきをしましょう。

歯ブラシの選び方

ドラッグストアなどでは、とてもたくさんの種類の歯ブラシが並んでいて、どれを選ぶか迷ってしまいます。選ぶポイントはブラシ部分の大きさと毛の硬さ、毛の材質です。

ブラシ部分の大きさは、上の前歯2本分の大きさが目安といわれます。大きいと奥歯が磨きにくくなります。大きく口を開けられない場合も、ブラシ部分が小さいほうが奥まで届きやすいといえます。

毛の硬さはふつう~やわらかめを選びましょう。かたい毛は歯ぐきを傷つける可能性があります。毛の材質はナイロン製のものが乾きやすくて衛生的です。材質によっても毛の硬さが異なることがあるので注意して選びましょう。毛先の細さや先端のカットの形などもさまざまな工夫がされていますが、毛の太さは一定で、まっすぐカットされているシンプルな歯ブラシが、誰にでも磨きやすいといえます。

歯ブラシの使い方

歯ブラシの持ち方は鉛筆を持つように下から支えます。力が入り過ぎず毛先がよく動くため、汚れも落ちて歯ぐきを痛めません。

基本的に歯ブラシは歯に対して直角にあて、小刻みに動かします。力が入ると毛先が押し広げられてしまい、汚れが落ちません。毛先は押し付けずに、あてた場所で小刻みに動かしましょう。毛先が歯の表面をパラパラと動くようなイメージです。少しずつ場所をずらしながら、1か所10~20回ずつ磨きましょう。

歯みがき粉の使用

歯みがき粉には、商品によってさまざまな有効成分が含まれていますが、歯の汚れは歯ブラシが歯にあたって動くことで取り除けます。歯みがき粉の清涼感でサッパリしますが、泡やだ液が多く出ることで、十分に時間をかけて磨けない可能性もあります。

歯みがき粉は歯ブラシの先端に少し、小豆大ほどが適量といわれます。歯みがき粉を使用しなくても歯の汚れは落とせるので、歯みがき粉のつけ過ぎに気をつけましょう。

歯みがき粉を使用する場合は、研磨剤が入っていないものを選んでください。研磨剤が歯の表面や歯ぐきを傷つけてしまうことがあります。泡の出にくい歯みがきや、液体歯みがき、ジェルタイプなど、使用する人に合ったものを選びましょう。

歯みがきのポイント

効率よく歯みがきをするために、汚れのたまりやすい部分を意識して磨くようにしましょう。汚れがたまりやすいといっても、やさしく磨くのが基本です。ゴシゴシこすらないように気をつけましょう。汚れがたまりやすいのは次の部分です。

・歯と歯の間
・歯と歯ぐきの境目
・奥歯の噛み合わせ
・一番奥の歯の後ろの部分
・残っている歯の周り
・義歯のクラスプ(バネ)がかかる部分

また、歯並びや噛み合わせ、残っている歯の場所、治療の方法などによっても汚れがたまりやすい場所は異なります。かかりつけの歯科医で歯みがき指導を受けてみるのもよいでしょう。

義歯のお手入れについて

義歯にもいろいろな種類があります。ここでは、一般的な総義歯と部分義歯のお手入れについて説明します。

総義歯と部分義歯の違い

総義歯は、歯が全くない場合に使用する義歯です。1本でも自分の歯が残っている場合の義歯は部分義歯になります。そのため、部分義歯は形も大きさもいろいろで、歯1本分の小さなものから、総義歯と見間違えるような大きいものもあります。

総義歯は人工歯の部分と、上あごや歯ぐきなどに接する土台の義歯床でできています。部分義歯は人工歯と義歯床、クラスプと呼ばれる義歯を支えるために自分の歯にひっかけるバネの部分でできています。

総義歯も部分義歯もその素材はいくつかあり選ぶことができますが、素材によっては保険適用外の物もあります。

義歯の外し方

部分義歯でクラスプ(バネ)がある場合は、必ず両手でクラスプを持って外します。片手で外すとクラスプがゆがむことがあります。1か所に負荷がかからないように、ゆっくり外しましょう。

総義歯は粘膜にぴったりとくっついているので、上下ともに前歯部分を持って、奥歯の方から空気を入れるように持ち上げます。

部分義歯も総義歯も、無理に外そうとすると口腔内を傷つけることがあります。どうしても付け外しが難しい場合は、歯科医師に相談しましょう。

義歯の洗い方

義歯は義歯専用ブラシで洗浄しましょう。柄が長く歯ブラシと似た形のものや、持ち手が握りやすい形のもの、片手でも洗えるように吸盤がついているものなど、義歯ブラシの形状はいろいろあります。

義歯は、人工歯と人工歯の間や義歯の裏側の粘膜に触れる部分、部分義歯のクラスプなどに特に汚れがたまります。できるだけ毎食後義歯を外して、義歯ブラシで水洗いしましょう。歯みがき粉は義歯を傷つけることがあります。義歯に目に見えない傷がつくと、細菌が繁殖しやすくなります。口腔内のトラブルの原因となることがあるので、義歯の洗浄に歯みがき粉は使用しないようにしましょう。

義歯の保管方法

義歯は乾燥すると壊れやすくなります。就寝時以外は基本的に口の中に入れておきましょう。見た目や食べることに必要なだけではなく、ぴったり合った義歯が入っていると噛み合わせとあごの位置が安定し、全身のバランスがとりやすくなります。転びそうになっても、力を入れて噛みしめることで体重を支えてバランスをとり、耐えることができます。

就寝時ややむを得ず外しておく場合は、水を入れた専用の義歯ケースに入れて保管しましょう。

義歯洗浄剤

義歯洗浄剤には洗浄、殺菌、消臭などの効果があります。つけおきタイプのものが多く、就寝前に義歯をブラシで洗浄後、翌朝まで浸けておけばよいので手軽に使用できます。

ただし、洗浄剤に浸けるだけできれいになるわけではないので、浸ける前に義歯ブラシで汚れを落としておくことは大切です。洗浄剤の種類によっても異なりますが、できれば毎日使用しましょう。少なくとも週に2~3回程度の使用をおすすめします。

<義歯洗浄剤の成分による作用の違いについて>

殺菌作用洗浄作用歯石除去作用消臭作用
次亜塩素酸××
過酸化物×
酵素×
生薬×

☆非常に強い ◎強い 〇普通 △弱い ×データなし

粘膜のケアについて

粘膜とは口の中の歯以外のやわらかい部分です。唇、頬の内側、上あご、歯ぐき、舌などです。食事などによって、歯だけではなく粘膜の部分も汚れや細菌が付着します。高齢者はさまざまな原因によってだ液の分泌量が減少することで、口腔内の自浄作用が低下していることがあります。適切な口腔ケアによって粘膜の組織を清潔に保つことはだ液の分泌にも良い影響を与えます。

粘膜のケアによって刺激を与えることで血流が良くなり、新陳代謝が促進されます。また、一定時間口を開けていたり、唇や舌を動かすことで口腔周辺の筋肉のトレーニングにもなります。歯がなくても、経管栄養で口から食べていなくても、粘膜のケアは必要です。

粘膜のケアに必要な道具と使い方

粘膜は非常にデリケートな部分です。高齢者の多くは粘膜が乾燥している傾向があります。乾燥し硬くなった粘膜は傷がつきやすく、傷から感染や炎症を起こすことがあります。ケアの刺激でしみたり、痛みがあることがあるため、口腔内の状態に合わせた器具を選ぶことも大切です。

 ・口腔ケア用スポンジ(スポンジブラシ)

棒の先にスポンジがついていて、スポンジを水で湿らせて口腔内を清拭します。スポンジの大きさや形、硬さなどには種類があるので、口の大きさや口腔内の状態にあったものを選びましょう。素材などによって価格も異なります。スポンジブラシは基本的に使い捨てにするものですので、使いやすさと経済性も考えて選びましょう

使い方は、コップを2つ用意してそれぞれに水を入れておきます。冷たい水がしみる方は、人肌のぬるま湯にするとよいでしょう。ひとつのコップはスポンジを湿らせる用、もうひとつのコップはスポンジを洗う用の水として使います。スポンジは湿らせてからよく絞ります。頬の内側や歯と唇の間など、やさしくなでるように拭き取ります。スポンジに汚れが付いたら洗う用のコップでよく洗いながら、口腔内全体を清拭しましょう

 ・口腔ケア用ウエットティッシュ

口腔内を清拭するためのウエットティッシュです。手や体用のウエットティッシュにはアルコールなどが含まれているものがあるため、口腔ケアには使用しないでください。

使い方は、口腔ケア用ウエットティッシュを指に巻き付けて、口腔内を清拭します。スポンジブラシと同じように、やさしくなでるように拭き取ります。水を使わないので、誤嚥のリスクが高い方でも安心して使用ができます。

 ・舌ブラシ

舌ブラシは舌についた汚れを落とすためのブラシです。歯ブラシに似た形状ですが、ブラシの部分は歯ブラシよりもやわらかく作られているので、舌を傷つけにくくなっています。大きさ形、材質などにも種類があるため、口腔内の状態にあったものを選びましょう。

使い方は舌ブラシを舌の中央部分にやさしく当て、手前にかき出すように動かします。

ブラシは往復させず、奥から手前にかき出すように3~5回程度拭き取ります。慣れるまでは1回から始めて徐々に回数を増やします。急にやりすぎると、舌の粘膜を傷つけてしまうことがあるため注意しましょう。

 ・保湿剤

口腔内の乾燥を緩和するためのものです。スプレータイプやジェル状のものがあります。乾燥の程度に合わせて、粘膜のケアの前後や就寝前などに使用します。嚥下機能に問題のない場合は、スプレータイプを使用すると潤った実感を得やすいといえます。

保湿ジェルの場合は手の甲などに適量を出し、指やスポンジブラシになじませるようにつけてから、口腔内の乾燥している部分に塗ります。多く塗りすぎると、口の中で固まってしまうことがあるので、薄く塗り広げてください。

口腔内に傷があったり、しみる、痛みがあるなどの症状があるときは歯科医師や歯科衛生士に相談してから使用しましょう。

粘膜ケアの方法

初めに、ブクブクうがいができる人はブクブクうがいをして大きな食べかすを吐き出し、口の中を湿らせます。ブクブクうがいができない場合は、口腔内状態に応じて保湿剤を塗布しておきます。

スポンジブラシ、または口腔ケア用ウエットティッシュを使用して口腔内を優しく清拭します。上下の唇と歯ぐきの間は食べかすが残りやすいので、スポンジブラシまたは口腔ケアウエットティッシュを巻いた指を何度か往復させましょう。

スポンジブラシはコップの水で洗いながら、口腔ケアウエットティッシュはずらして指に巻きなおしながら、きれいな部分で清拭できるようにしましょう。上あご、歯ぐき、頬の内側、舌を清拭します。

舌の表面は他の部分と違って小さな突起が集合した構造のため、汚れや細菌が溜まりやすくなっています。舌の中央部から手前に向かって清拭しますが、あまり奥の方に触れると嘔吐反射が起きるため、舌の前方から始めて、少しずつ奥へ触れるようにしましょう。

ブクブクうがいができる場合は、最後にもう一度ブクブクうがいをして終わりにします。

アサヒグループ食品株式会社が作成した口腔ケアハンドブックです。口腔ケアについてわかりやすく説明されていますのでご参考ください。
https://www.asahi-gf.co.jp/special/senior/pdf/handbook.pdf

口腔機能を維持・向上:まとめ

ていねいな口腔ケアを継続することで、食べることや話すことだけではなく、全身状態に良い影響があります。無理のない範囲から始め、毎日続けていきましょう。

この記事の提供元:シルバーライフ

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