ご希望のお弁当/食材の種類から探す
配食のふれ愛は、原材料にこだわり抜き、ご高齢者様向けに味付け、栄養バランスなどに配慮した美味しいお弁当を毎日、日替わり献立でお届けします。
HOME > コラム一覧 > 高齢者の水分補給 / 更新日:2019年6月10日
HOME > コラム一覧 > 高齢者の水分補給 / 更新日:2019年6月10日
【毎月更新!】コラム 最新記事一覧へ戻る

高齢者の水分補給

高齢者の水分補給

近年夏の暑さが厳しくなり、脱水症や熱中症という言葉が一般的になっています。特に高齢者は脱水症になりやすく、命を落とす危険もあります。高齢者の脱水症・熱中症に有効な対策と水分補給について考えてみましょう。

高齢者は脱水症になりやすい

高齢者は脱水症になりやすいといわれます。それは加齢による身体の生理機能の変化や持病などに加えて、脱水症に気づきにくいことが理由のひとつです。

高齢者はもともと水分が少ない

加齢とともに体内の水分量は減少していきます。体重に対する体内の水分比率は、子供では70%、成人は60%、高齢者では50%といわれています。高齢者はもともと体の中に持っている水分が少ないため、脱水症になりやすいと考えられます。

また体内での生理機能の低下によって水分と電解質(ナトリウムやカリウム)のバランスがとりにくくなっていると、汗をかくことで容易に脱水症を引き起こします。

必要な水分量は

健康な成人では一般的に、尿と便、汗や呼吸で1日に2.5ℓの水分が排泄されるといわれています。体調を維持するためには、食事や飲み物から摂る水分と体内で生じる水分の合計(体に入る水分=IN)が、排泄される水分の合計(体から出ていく水分=OUT)と一致していること(インアウトバランス)が必要ですが、いろいろな理由によって高齢者はそのバランスが崩れやすいといえます。

高齢者が脱水症になりやすい理由

高齢者が脱水症になりやすい理由には次のようなことがあげられます。

・もともと体内の水分の量が少ない。
体内の水分は筋肉の中にも多く貯えられています。一般的に高齢者は若いときよりも筋肉量が減少していることからも、体内の水分が少なくなっているといえます。

・のどの渇きを感じにくい。
体内の水分が減少して血液が濃縮すると、脳の視床下部にある口渇中枢が刺激を受けて、のどの渇きを感じる仕組みがあります。高齢者ではこの口渇中枢の感受性が低下していて、のどの渇きを感じにくくなっていることがあります。

・食事から摂っている水分が少ない。
食事の量が減っていて食事から摂る水分や塩分の量が減少している場合も、脱水症の原因のひとつとなります。

・トイレが近くなることを心配する。
高齢者はトイレが近くなったり、失禁を気にするために水分を控える傾向があります。

・摂食嚥下機能の低下によって水分がとりにくくなる。
水分によってむせ込むようになると、むせ込んだ時の苦しさや誤嚥のリスクを気にして、水分が摂りにくくなることがあります。

・疾病による尿量の増加、利尿剤の服用による尿量の増加。
糖尿病や腎機能の低下などがあると、体内での水分の調節がうまくできず尿量が多くなることがあります。また高血圧や腎不全、他の疾病の治療のために利尿剤を服用している場合は、尿量が増加していることがあります。

疾病の状態によっては、医師から水分や塩分、カリウムなどの摂取に制限がある場合があります。脱水症が疑われるときの対処法について医師と相談しておきましょう。

生活環境もチェックが必要

特にたくさん汗をかくような環境ではなくても、日常生活の中で脱水症を引き起こしやすいケースがあります。

・室内の温度や湿度が高い。
室内にいても脱水症がおこる可能性はあります。室温が28度を超えている場合や湿度が高く風通しが悪い場合は、脱水症のリスクが高くなります。また日当たりの良い部屋は、思いの外室温が高くなっていることがあります。体で感じる温度や湿度には個人差もあるため、室温計・湿度計を活用して数値で確認するようにしましょう。

・厚着の習慣がある。
高齢者は筋肉量の減少や血流が悪くなることが要因となり、「寒い」と感じて習慣的に厚着をしていることがあります。1年を通して長そでを着用していたり、夏でも就寝時に毛布を使用している高齢者は珍しくありません。本人の体感だけではなく周りの人が声をかけて、着衣などの調整を促しましょう。

脱水症とは

脱水症は、汗をかくことで水と電解質が失われた時に、水と電解質が補給されないことでおこる症状です。

脱水症のタイプ

水欠乏性(高張性)
脱水症
混合性(等張性)
脱水症
食塩欠乏性(低張性)
脱水症
口渇
口腔内乾燥
食欲不振
吐き気・おう吐
めまい
倦怠感
頭痛

脱水症には3つのタイプがあります。

1.水欠乏性(高張性)脱水症
水分が多く失われる脱水症です。多量の発汗や極端な水分摂取の低下が原因となることが多く、自ら水分補給が困難な乳幼児や高齢者に多いタイプといわれます。のどの渇き、口腔粘膜の乾燥などの症状があります。比較的意識レベルは正常に保たれ、四肢の冷感や脈拍の異常は発生しにくいタイプです

2.混合性(等張性)脱水症
水分とナトリウムがほぼ同等に欠乏している脱水症です。通常はのどの渇きを感じるため、水分補給をすることで改善しますが、水だけを補給した場合に、食塩欠乏性(低張性)脱水症に移行することがあります。

3.食塩欠乏性(低張性)脱水症
ナトリウムが多く失われる電解質欠乏性の脱水症です。水分以上に電解質(ナトリウム)の損失が著しい状態で、発熱やのどの渇きなどの症状が少なく、皮膚や粘膜の乾燥も少ないので、初期には自覚症状がなく気付きにくいのが特徴です。進行すると全身の倦怠感や眠気といった症状と、四肢の冷感や脈拍が弱くなることがあります。多量の発汗や嘔吐・下痢などの症状に対して、水だけを補充し続けることで起こることがあります。

脱水症のサインは

自分からのどの渇きや倦怠感を訴えることが少ない、または訴えることができない高齢者の場合は、近くにいる人が脱水症のサインにいち早く気付くことが重要です。

・唇や口腔内の乾燥
適切な温度・湿度の場所にいても唇がカサカサしていたり、口腔内が渇いているときには、脱水傾向を疑いましょう。

・痰が絡む、痰が切れない
体内の水分が少ないことで痰の粘性が強まるため、痰が絡んだり痰の切れが悪くなったりします。

・わきの下の汗
誰でも通常わきの下は湿っているものですが、脱水症の場合は湿った感じがなくなっていることがあります。

・ハンカチーフサイン
手の甲の皮膚をつまみ上げた時、通常はつまんだ手を離せばすぐに元に戻りますが、脱水傾向がある場合はつまんだ手を離してもすぐに戻らないことがあります。

脱水症が引き起こす疾病

・脳梗塞
脱水症によって血液中の水分が減少し、いわゆる「血液ドロドロ」の状態となることで脳梗塞のリスクが高まります。

脳梗塞は、脳の血管に血液の塊が詰まって脳への血流が途絶えることで、脳へダメージが及ぶ病気です。脳梗塞はその原因によって大きく3種類に分けられます。1つは脳の細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」、2つめは頸動脈や脳の太い血管が詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」、3つめは心臓にできた血栓が血流によって脳に運ばれて、脳の太い血管を詰まらせる「心原性脳塞栓症」です。3つめの心原生脳塞栓症は心房細動によって引きおこされることが多い脳梗塞ですが、ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞は高血圧や糖尿病のある場合は特にリスクが高く、夏季に脱水症が引き金となって発症しやすいといわれます。実際に脳梗塞で救急搬送される人は、梅雨時から8月に増えるといわれています。

・せん妄
脱水症が進行すると「せん妄」という意識障害がおこることがあります。せん妄では、見当識障害、睡眠障害、幻覚、妄想など、認知症と似通った症状があるため、速やかに補液の治療が行われないうちに、さらに脱水が進行してしまう恐れがあります。
同様に認知症のある場合は、のどの渇きや体調不良を適切に訴えることができないことで、脱水症の進行に気付きにくいことがあります。日頃から十分な水分補給を心がけ、周囲の人が脱水症のサインを見逃さないことが大切です。

熱中症とは

気温の高いことが要因となって生じる健康障害の総称です。体内の水分や塩分などのバランスが崩れることでおこります。体温調節ができなくなって、体温の上昇、めまい、倦怠感、けいれん、意識障害などがおこります。

熱中症の分類と対処

・重症度Ⅰ度
めまい、立ちくらみ、こむら返り(足がつる)、大量の汗が出るなどの症状があります。この時点では意識ははっきりしていて、ほとんどの場合は自分で歩くことができます。涼しい場所へ移動して安静にし、水分補給をしましょう。体温や血圧に異常がなく、症状が改善されれば特に受診の必要はありません。

・重症度Ⅱ度
頭痛、吐き気、倦怠感、脱力、集中力や判断力の低下などの症状があります。支えがないと自分では立てないことがあります。涼しい場所へ移動して、着衣を緩めます。首やわきの下、足の付け根(鼠径部)などを集中的に冷やし、風を当てます。水分補給は水よりも、塩分や糖分を含んだ経口補水液が効果的です。吐き気がある場合は、少量ずつ飲みましょう。おう吐があったり、自分で水分が飲み込めない場合や、水分補給をしても症状の改善がない場合は受診をしましょう。

・重症度Ⅲ
意識障害、けいれん、運動障害などの症状が起きた場合はすぐに救急車を呼びます。救急車を待つ間、涼しい場所へ移動して着衣を緩めます。体を触って熱い場合は、首やわきの下、足の付け根(鼠径部)などを集中的に冷やし、風を当てます。このような症状のある場合、水分補給は不可能なことが多いので、無理に飲ませることは止めましょう。

大塚製薬のホームページです。熱中症について詳しく説明されています。ご参考ください。
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/heat-disorders/

効果的な水分補給

消防庁のデータによると、2018年の夏に脱水症や熱中症で救急搬送された人は、調査開始以来過去最多となりました。そのうち65歳以上の高齢者が48.2%とおよそ半数を占めました。

脱水症は治療よりも予防することが重要です。日頃からのこまめな水分補給が大切ですが、夏季や入浴時など汗をかくことが予想される場面や、発熱、嘔吐、下痢などの体調不良時など脱水症のリスクが高まっている場合には、特に配慮した水分補給が必要です。

水分補給のタイミング

効率の良い水分補給のタイミングは「コップ1杯の水を1日8回」です。1日3回の食事の時の他に、あと5回の水分補給タイムをとるようにしましょう。

①起床時:人は寝ている間にも汗をかいています。失った水分を補ってから、1日をスタートしましょう。
②③10時と15時ころ:お茶の時間、おやつの時間といわれる時間です。大人も子供も水分補給をしましょう。
④入浴時:入浴の前後に水分補給をしましょう。特に高齢者では、入浴中におこりやすい体調不良を予防するために重要です。
⑤就寝時:寝ている間に失われる水分を補っておきます。夜間にトイレが心配なときは、就寝1時間前に水分補給をして、就寝直前にトイレを済ませてから寝ましょう。

何を飲めばいいのか

日常的な水分補給に適している飲み物は「水」です。夏の屋外での作業や運動などで一度に多量の汗をかくようなときにはスポーツドリンクなどを利用するのもよいですが、日常的な水分補給には糖分を多く含むのでお勧めしません。同様の理由でジュースなども飲み過ぎには注意しましょう。またコーヒーや他のお茶類もカフェインを含んでいたり、利尿作用の強いものもあるので、飲み過ぎには注意しましょう。

経口補水液とは

経口補水液(Oral Rehydration Solution : ORS)は脱水時に不足している水と電解質を含み、それらの吸収速度を高めるために糖質(ブドウ糖)を少量配合した飲料です。経口補水液を用いた経口補水療法は、開発途上国で流行したコレラによる脱水症の治療方法として注目を受けました。

開発途上国では衛生環境の整備の遅れから感染症が多発していました。しかし医療設備や医師の不足などで点滴治療が困難であったため、嘔吐や下痢などの症状によって体から失われた水分および電解質を経口で補給することが必要でした。

その効果が実証されたことで、現在は開発途上国だけではなく先進国でも活用され、推奨されています。

経口補水液とスポーツドリンクの違い

経口補水液は水分と電解質(ナトリウムなどの塩分)を補うために、一般的なスポーツドリンクよりも電解質の濃度は高く、またその吸収を高めるために糖の濃度は低くなっています。軽度から中等度の脱水症には、スポーツドリンクよりも経口補水液の方が適しているといえます。経口補水液は健康な人であれば日常的に飲んでも体調に影響はありませんが、特別な健康効果が期待できるものでもありません。経口補水液は、あくまでも脱水症の改善のために用いる飲料と考えましょう。また疾患によって医師から水分やナトリウム、カリウムなどの摂取制限を指示されている場合は、経口補水液の利用については、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。

自分で作る経口補水液

脱水症が疑われるとき、手元に経口補水液がない場合は自分で作ることができます。
「1ℓの水に砂糖40gと塩3g」を混ぜるだけです。飲みにくいときは、レモン果汁を数滴加えてもよいです。

まとめ

高齢者の脱水症は夏季だけではなく、1年を通して注意が必要です。定期的な水分補給の時間を設けることで生活のリズムも作ることができます。適切な水分補給で脱水症を予防しましょう。

関連記事

記事一覧へ戻る>