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HOME > コラム一覧 > 高齢者と腸内細菌 疾病・認知症編 / 更新日:2019年6月10日
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高齢者と腸内細菌 疾病・認知症編

高齢者と腸内細菌 疾病・認知症編

成人期に安定していた腸内環境は70歳を境目として、加齢に伴う生理機能の低下や食事内容の変化、生活スタイルの変化などの要因によって、再び変化を始めます。腸内フローラと老化の関係についてはまだ不明な点が多いですが、加齢に伴って変化した腸内フローラが健康状態に影響を与える可能性については、さまざまな研究が進められています。

高齢者の腸内細菌の特徴

人の腸内フローラは多くの要因によって影響を受けます。乳幼児期から老年期まで生涯を通して影響を受ける因子に加えて、年齢によって異なる特有の因子もあります。

ライフサイクル別、腸内フローラに関与する因子

人の腸内細菌は母体の中にいる時から生涯を通して、さまざまな影響を受けながら変化をしています。自らの選択によって変えることができない因子としては、遺伝的因子があります。人種や地理的位置などによって腸内フローラのタイプは大きくいくつかのタイプに分けられますが、それらのタイプはそれぞれに特徴のある腸内細菌のバランスを持っています。

腸内フローラに影響を与える因子はライフステージごとにいろいろあげられますが、食事、衛生環境(感染)、薬剤(抗生剤)などは特に高齢者において大きく影響する可能性があります。

腸内フローラに影響を及ぼす因子

胎児期 乳幼児期 学童~思春期 成人期 老年期
年代によって変化する因子
母体の食事
母体の腸内フローラ
在胎週数
出生方法
栄養方法
家庭環境
兄弟の有無
ペットの有無
離乳
家庭環境
兄弟の有無
ペットの有無
肥満
性ホルモン
肥満
健康状態
ライフスタイル
健康状態
口腔機能
摂食嚥下機能
低栄養
フレイル
生活環境
要介護認定の有無
生涯を通じて影響する因子
食事・薬剤(抗生剤)・遺伝・地域・衛生環境

加齢に伴う腸内フローラの変化

高齢者の腸内フローラは成人期と比べて非常に個人差が大きく、細菌の多様性や安定性が低下しているといわれます。腸内フローラが加齢に伴ってどのように変化していくのかは非常に注目されているところですが、まだ明らかになっていないことが多く存在しています。

腸内フローラに影響を与える、加齢に関連した因子として次のことがあります。

1.身体的変化:加齢に伴う生理学的な機能低下と恒常性の損失、免疫機能の低下など。
2.食事内容の変化と低栄養:味覚や嗅覚の変化や低下、口腔機能と咀嚼嚥下機能の低下、消化機能の低下などが要因となって引き起こされる低栄養。
3.生活環境:入院や施設の利用などによる食事内容や量の変化。
4.抗生剤などの薬剤:風邪や肺炎、他の感染症などの治療による抗生剤の使用。

これらの要因が単独、または複合的に発生することで、腸内フローラに悪影響を及ぼすと考えられています。

腸内フローラから疾病へのアプローチ

腸内フローラがさまざまな疾病と関連があることが分かり始めていますが、実際に腸内フローラが直接活用される治療方法は一般的にはまだ行われていません。しかし限られた条件のもとに限り、難病指定疾患の潰瘍性大腸炎の治療に腸内細菌療法(便移植療法)が臨床研究として始められています。健康な人の腸内細菌を患者の腸内に移植することで、患者の腸内フローラを適正に再構築するという考え方の治療方法であり、欧米諸国ではすでに通常医療として行われているものです。今後さらに臨床研究が進み、腸内細菌療法が有効な治療方法のひとつとして確立されることが期待されます。

大学病院や研究機関だけではなく、さまざまな業種の企業でも腸内細菌と人の健康についての研究が行われています。
https://calpis-kenko.jp/

カルピスが長年にわたり研究を続けてきた乳酸菌や微生物と人の健康の関係について、わかりやすく説明されています。腸内細菌と健康について知識が広がります。ご参考ください。

腸内細菌と認知症

脳と腸がお互いに影響しあっていることは、脳腸相関として以前から知られています。近年の研究でうつ病や自閉症などの精神・神経疾患との関係もわかり始めていますが、同じように腸内細菌と認知症との関係も多くの調査・研究がされています。

認知症と腸内細菌バクテロイデスの関係

バクテロイデス属の細菌は日本人の腸内に多く存在し、日和見菌として分類されることが多い細菌ですが、近年では腸管免疫や炎症反応の制御などで重要な働きがあることもわかっていて、人の健康に良い影響が期待されています。中でもバクテロイデス・プレビウスは海苔を消化するために必要な腸内細菌といわれ、日本人に特有の腸内細菌といわれます。

国立長寿医療研究センターの研究チームが、認知症患者と健康高齢者の便サンプルから腸内フローラの分析をしたところ、認知症患者の腸内フローラにはバクテロイデスが少なく、種類が特定できない細菌種が多くなっている傾向があることを発見しました。

この結果が認知症とバクテロイデスの関係を決定づけるものではありませんが、認知症の有無によって腸内フローラの組成に変化が起きていることが明らかとなりました。さらに認知症患者の腸内フローラの解析が進むことで、食生活や栄養面からの認知症リスク軽減が可能となるかもしれません。

認知症と乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベティカスの関係

乳酸菌のラクトバチルス・ヘルベティカスは、発酵の過程で「ラクトノナデカペプチド」を生産します。このラクトノナデカペプチドに認知機能の改善効果が期待できるという研究結果があります。

ラクトノナデカペプチドはアサヒグループホールディングス株式会社が発見したペプチドでアミノ酸が19個つながった鎖のような形をしています。ペプチドは乳酸菌が発酵の過程で作り出す物質で、さまざまな種類があります。ラクトバチルス・ヘルベティカスはペプチドを産生する力に優れていて、いろいろな個性を持ったペプチドを作り出します。

ラクトノナデカペプチドを含む発酵乳を、物忘れを自覚する50~70歳の中高年が1日1回、8週間飲み続けたところ、集中力と短期記憶に改善がみられたという結果が得られました。ラクトノナデカペプチドが脳の記憶をつかさどる海馬の中で、アセチルコリンの放出量を増加させることが分かっています。

ラクトノナデカペプチドが記憶力や集中力などの認知機能に働きかける効果があることはわかりましたが、その体内でのメカニズムはまだ解明されていません。ラクトバチルス・ヘルベティカスに限らず、認知機能の維持やアルツハイマー型認知症の予防効果が期待できる乳酸菌が数種発見され、研究されています。それら乳酸菌の体内での働きやメカニズムの解明が待たれます。

認知症とビフィズス菌A1の関係

森永乳業と東京大学、地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所の共同研究により、ビフィズス菌A1(ビフィドバクテリウム ブレイブA1)がアルツハイマー型認知症の発症を抑制する可能性があることを発見しました。

アルツハイマー型認知症の原因物質と考えられているアミロイドβを脳内に投与したマウスにビフィズス菌A1(10億個/日)を10日間経口で投与し、空間認識力と学習記憶能力などについて評価する実験では、空間認識力・学習記憶能力ともに改善されたという結果が得られています。

アルツハイマー型認知症の脳では慢性的に炎症が起きており、炎症が病気の進行に深くかかわっているといわれます。マウスの脳内で引き起こされた過剰な免疫反応や脳内炎症が、ビフィズス菌A1の抗炎症作用によって抑えられたことで、認知機能障害が改善・抑制されたと考えられます。今後は人についての効果の検証が期待されます。

腸内細菌を育てる

全身の健康と関係の深い腸内細菌ですが、腸内フローラは自分で育てることができます。自分の食べた物が腸内フローラを育てるということを意識してみましょう。

プロバイオティクス

プロバイオティクスとは、有害な病原細菌を抑制するアンチバイオティクス(抗生物質)に対して作られた概念であり、プロバイオシス(共生)を語源としています。「腸内フローラのバランスを改善し、宿主(人)に良い影響を与える生きた微生物(有用菌)、またはそれらを含む食品、製品」を示します。乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌などの生菌製剤やそれらを含む食品がこれにあたります。一定の条件を満たすことが科学的に証明された特定の菌株についてプロバイオティクスと考えられています。

プロバイオティクスの条件 ・安全性が保証されている。
・もともと宿主(人)の腸内フローラの一員である。
・胃液、胆汁などに耐えて生きたまま腸に到達できる。
・下部消化管で増殖可能である。
・宿主(人)に対して明らかな有用効果を発揮できる。
・食品などの形態で有効な菌数が維持できる。
・安価かつ容易に取り扱える。
プロバイオティクスの効果 ・便秘および下痢症の改善効果。
・乳糖不耐症の改善効果。
・免疫機能改善による感染防御・アレルギー抑制効果。
・動脈硬化の予防効果。
・抗腫瘍作用。

これらを満たしたプロバイオティクスの効果を期待した食品については、特定保健用食品(トクホ)として認められているものもあります。購入時の目安として活用しましょう。

プレバイオティクス

プロバイオティクスと似ていますが、「大腸の特定の細菌を増殖・活性化させることにより、宿主(人)に有利な影響を与え、宿主(人)の健康を改善する食品成分」と定義され、オリゴ糖(ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、コーヒー豆マンノオリゴ糖、グルコン酸)や食物繊維の一部(ポリデキストロース、イヌリンなど)がプレバイオティクスの条件を満たす食品成分とされています。

プレバイオティクスの条件 ・消化管上部で加水分解、吸収されない。
・大腸に共生する有益な細菌の栄養源となって、それらの細菌の増殖を促進し活性化する。
・大腸の腸内細菌叢(腸内フローラ)を健康的な構成に改変できる。
・宿主(人)の健康に有益な全身的な効果を誘導する。
プレバイオティクスの効果 ・整腸作用
・インスリン抵抗性の改善
・ミネラル吸収促進作用
・尿中窒素低減作用
・大腸がん・炎症性腸疾患の予防・改善
・アレルギー抑制作用
・腸管免疫の増強

プレバイオティクスの機能性は大腸で腸内細菌のエサとなり、腸内フローラの変化によって効果が発揮されると考えられています。

シンバイオティクス

シンバイオティクスはプロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたものを指します。腸内フローラのバランスを整える生きた菌であるプロバイオティクスとそのエサとなるプレバイオティクスを一緒に摂取することで、より効果的に腸内フローラに働きかけようという考え方です。

腸内フローラを育てるには

腸内フローラを育てるシンバイオティクスを実践するには、具体的に何をしたらよいのでしょうか。

プロバイオティクス食材

有用菌を腸に届ける食材は発酵食品といわれるものです。乳酸菌、ビフィズス菌というとヨーグルトが代表食材ですが、ヨーグルトの他にも納豆、みそ、酒粕、ぬか漬け、キムチなども発酵食品です。少しずつでも毎日食べるように心がけましょう。

プレバイオティクス食材

有用菌を育て、活性化させるにはエサとなる食物繊維やオリゴ糖が必要です。野菜、果物、海藻、きのこ、豆など、主に植物性の食品です。毎食、少量ずつでも多品目を食べることが理想的といえます。
例えば忙しい朝、朝食をトーストとコーヒーで済ませるよりも、ヨーグルトにバナナとオリゴ糖を入れた物を1品足すだけでシンバイオティクスを実践できます。また和食でも、ごはんにぬか漬け、具だくさんのお味噌汁で、立派なシンバイオティクス献立といえます。

短鎖脂肪酸の働き

短鎖脂肪酸はビフィズス菌などの善玉菌が腸内で作り出す、酪酸、酢酸、プロピオン酸などの物質です。善玉菌が短鎖脂肪酸を産生することで腸内が弱酸性に傾き、悪玉菌が増殖しにくい環境づくりに役立ちます。また腸内の炎症を抑える作用や、腸管から吸収されて全身に送られ脂肪細胞に働きかけると、脂肪の蓄積を抑制したり脂肪を燃焼させる効果もあるといわれます。

短鎖脂肪酸の働き

発がん予防 ・短鎖脂肪酸が腸内を弱酸性に保つサポートをすることで、有害物質の抑制に効果がある。
・大腸細胞の異常な増殖抑制、大腸細胞の病変を抑制する。
・肝臓がん細胞の増殖を抑制する。
肥満予防 ・短鎖脂肪酸は脂肪細胞へのエネルギーの取り込みを抑制し、脂肪細胞の肥大化を予防する。
・交感神経系を介してエネルギー消費を促す。
糖尿病の予防・改善 ・インスリンを分泌する膵臓β細胞の減少を抑制する。
・インスリンの分泌を促進させる。
食欲抑制 ・脳に直接作用して食欲を抑制し、満腹感を持続させる。
免疫機能の強化 ・腸内環境を整え、過剰な免疫反応を抑制する。

まとめ

腸内フローラと認知症の関係についてはまだ解明されていないことが多く、今後の調査・研究が待たれます。しかし腸内フローラを育てよい状態を維持することは、決して特別なことは必要ありません。日頃の食生活を見直して、健康維持のためにシンバイオティクスを実践しましょう。

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