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HOME > コラム一覧 > 高齢者と腎臓病 予防と治療編 / 更新日:2019年6月10日
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高齢者と腎臓病 予防と治療編

高齢者と腎臓病 予防と治療編

腎臓病はさまざまな症状があり、病気の進行度合によっても症状は異なります。特に初期には大きな自覚症状がないことがほとんどです。腎臓病の発見には定期的に検査を受けることが非常に大切です。また腎機能の低下は、いったん進行すると元の状態に回復することが困難です。早期発見・早期治療によって、腎機能低下の進行を抑制しましょう。

腎機能の検査

自覚症状のない腎臓病を発見するには、定期的な医療機関での検査が必要です。腎臓の一般的な検査は尿検査と血液検査です。

尿検査

・尿たんぱく定性検査、尿潜血定性検査
尿の中にたんぱくや血液が含まれているかを調べます。血液中のたんぱく質は腎臓の糸球体でろ過されたあと、尿細管で再吸収されて血液に戻るので、尿中に排泄されるのはごく少量です。赤血球も尿中にごく少量の排泄はありますが、どちらも定性検査ではマイナス(陰性)が正常です。たんぱく質や赤血球が尿中に多量に含まれる場合は、糸球体や尿細管に異常がある可能性があります。尿たんぱくや尿潜血がプラス(陽性)となった場合は、再検査で定量検査を行って、実際にどのくらいの量が排泄されているかを測定します。

・尿沈渣
尿を遠心分離器にかけて、尿中の固形成分を顕微鏡で調べます。固形成分には赤血球、白血球、結晶成分などが含まれますが、これらの固形成分の内容によって、腎臓病の種類を判定することができます。

血液検査

・クレアチニン
クレアチニンは筋肉の中でアミノ酸の一種であるクレアチンが作り出す代謝産物です。健康であれば血液中のクレアチニンは腎臓の糸球体でろ過されて、尿細管ではほとんど再吸収されずに尿中に排泄されます。腎臓に機能低下があると尿中に排泄されるクレアチニン量が減少し、血中に多くなります。

基準値は、男性で0.6~1.1㎎/dl、女性で0.4~0.7㎎/dlです。腎機能の低下とともにクレアチニン値は高くなります。しかしクレアチニン値は、個人の筋肉量によって影響を受けます。実際の腎機能が同程度であっても、女性よりも男性、高齢者よりも若年者の方が高値になる傾向があります。

・eGFR(推算糸球体ろ過量)
腎臓の機能を正確に知る場合は、クレアチニン・クリアランスという検査がありますが、最近ではより簡単に腎機能を把握できるように、クレアチニン値と年齢、性別を掛け合わせたeGFR(推算糸球体ろ過量)が広く用いられるようになっています。

・尿素窒素(BUN)
尿素窒素は血液中の尿素に含まれる窒素成分で、たんぱく質が利用されたあとにできる老廃物です。健康であれば腎臓の糸球体でろ過されて尿中に排泄されますが、腎機能が低下するとろ過されずに血液中に残り、血中濃度が高くなります。正常値は男女とも8~20㎎です。尿素窒素はたんぱく質の摂り過ぎや他の疾病でも数値が上昇することがあります。

腎臓病の種類

腎臓病にはいくつもの種類があり、病状も経過も治療の方針も異なります。腎臓病の種類によっては、複数の診療科での治療が必要な場合もあります。

原発性と続発性

原発性の腎臓病は腎臓自体に病気の原因がある場合で、腎臓のどこかの部位で炎症が起きている「腎炎」が代表的です。炎症の起きている部位によって糸球体腎炎や間質性腎炎などがあり、糸球体腎炎には急性糸球体腎炎(急性腎炎)と慢性糸球体腎炎(慢性腎炎)などの種類に分けられます。

続発性の腎臓病は腎臓以外の病気が原因となって腎臓に悪影響が起きている場合で、糖尿病性腎症、腎硬化症、痛風症などがあります。

急性腎不全と慢性腎不全

腎臓病が進行して腎機能が低下すると腎不全といわれる病態になります。腎不全には急激に機能低下が起きる急性腎不全と長期に渡って徐々に機能低下が起こる慢性腎不全があります。急性腎不全では、尿が出なくなる、ひどいむくみなどの症状があり、適切な治療によって腎機能の回復が可能です。一方、慢性腎不全は自覚症状がないままゆっくりと腎機能が低下していき、腎機能が元の状態に回復することは期待できません。

保存期と透析期

慢性腎不全で腎機能の低下が進行し尿毒症の症状が出ていても、透析治療は受けなくてもある程度の体調が維持できる状態の時期を「腎不全保存期」といいます。この時期は適切な薬物療法と食事療法によって腎不全の進行を抑制することができます。

保存期の治療にもかかわらず、さらに腎機能の低下が進行した状態が「末期腎不全(透析期)」といいます。尿毒症の症状が強くなるために、体内に溜まった老廃物を何らかの方法で除去しなくてはなりません。そのため末期腎不全では人工透析や腎臓移植などの治療が行われます。

慢性腎臓病(CKD)

慢性に経過するすべての腎臓病を指して慢性腎臓病(chronic kidney disease = CKD)といいます。CKDの原因は生活習慣病による続発性の腎臓病や慢性腎炎などが代表的ですが、加齢による影響も大きく、誰でもが発症する可能性があります。

CKDは次のいずれか、または両方が3か月以上持続した状態をいいます。
① 尿検査、血液検査、画像診断などで腎障害の存在が明らかである。
② GFR(eGFR)が60ml/分/1.73㎡未満に低下している。

腎臓病の治療

腎臓病にはいろいろな種類があり、その原因や進行度によって治療の方針が異なります。急性腎不全では多くの場合、入院して治療を受けることで腎機能の回復が期待できますが、慢性腎不全では腎臓を保護し、少しでも機能低下を遅らせることが治療目標のひとつとなります。

薬物治療

腎不全に対して直接作用する薬はありません。そのときの症状や腎機能のレベル、合併症の状態などに応じて、降圧剤、利尿剤、リン吸着薬、カリウム吸着薬、エリスロポエチン製剤、ステロイド製剤、免疫抑制剤、漢方薬などの処方があります。

食事療法

腎機能の進行度によって、具体的な1日あたりの摂取量は異なりますが、エネルギー(カロリー)、たんぱく質、塩分、カリウム・リン、水分について制限が必要となります。

・エネルギー(カロリー):腎臓の負担を軽減するために、十分なエネルギーの確保が必要です。

・たんぱく質:Ccr(クレアチニン・クリアランス)が70ml/分以下を目安に、たんぱく質の制限が必要と考えられます。

・塩分:塩分の摂取量は6g/日以下を目標として、腎機能の状態によってはそれ以下の制限が必要な場合もあります。

・水分:腎機能の状態によっては、排尿量と併せて厳密な水分管理が必要なこともあります。

高齢者の食事療法で注意することは

たんぱく質を多く含む食品は、肉や魚、卵、乳製品、豆類など「おかず」となる食材が多く、これらの摂取量が少なくなることで食事摂取量の全体が減少し、十分なエネルギーの確保が難しくなることがあります。腎臓を保護するためには十分なエネルギーの摂取が必要なため、献立には揚げ物や炒め物などで油を上手に使用してエネルギーアップをしましょう。食事と食事の間におやつで甘いものを摂ることもエネルギーアップには有効ですが、あんこや卵を使っているお菓子は、たんぱく質を多く含む場合があるため注意が必要です。

カリウムの制限がある場合、カリウムは生の野菜や果物に多く含まれるため、すべて一度茹でこぼしてから食べるようにしましょう。
たんぱく質を制限することでカルシウムや鉄は欠乏の可能性があるため、カルシウム製剤や造血剤などで補うこともあります。医師の指示に従いましょう。

高齢者の場合は特に、たんぱく質を制限することで筋力の低下につながり、フレイルの状態に陥ることがあります。また減塩によって食欲が減退し摂取エネルギーが不足すると、体内の筋肉を分解し始めます。筋力の低下、体力の低下に拍車がかかり、転倒による骨折や寝たきりなどの要介護状態となるリスクは高まります。

病者用食品の利用

消費者庁の許可を得ている特別用途食品の中に「病者用食品」というものがあります。たんぱく質含有量を抑えた「低たんぱく米」「低たんぱくうどん」など、含有するたんぱく質の量を抑えた主食類や、たんぱく質を含まずにエネルギーを補給できる飲料や菓子類などもあります。種類も豊富で味もよくなっており、一般にも販売されていますので、管理栄養士に相談してみましょう。自然の食材だけで腎臓病者の食事を整えることは、管理栄養士であってもなかなか大変です。食事は毎日のことですから大きな負担にならないよう、病者用の特別な食品を利用することで、安心して食事の内容を整えることができます。

食事療法は、腎臓を保護するためにとても大切です。原疾患や合併症、年齢や生活環境などによって一人一人食事の内容は異なります。医師や管理栄養士などから十分な説明を受けましょう。

その他の治療

腎機能の低下が進み薬物療法と食事療法では体調が維持できなくなった場合には、腎機能の一部を補う「透析」と、根治を期待する「腎臓移植」の治療方法があります。腎臓移植は他の人の腎臓を体の中に移植することで、腎機能を回復させる治療法で、末期腎不全の治療方法の中で、唯一根治が期待できる治療方法です。

透析療法

透析療法には血液透析と腹膜透析があります。どちらの方法にもメリットとデメリットがありますので、医師に十分な説明を受けて導入しましょう。

透析を始める時期

腎臓の働きが10%以下に低下すると老廃物が体内に蓄積し、放っておくと命にかかわります。以下の1.臨床症状、2.腎機能、3.日常生活障害度の3つのチェック項目の合計点数が、原則60点以上となったときに透析療法の導入適応となります。

1.臨床症状
以下のうち3個以上あるものを高度、2個を中等度、1個を軽度とする。

1 体液貯留(全身浮腫、高度の低たんぱく血症、肺水腫) あてはまるものが3個以上
高度=30点
2個
中等度=20点
1個
軽度=10点”
2 体液異常(管理不能の電解質・酸塩基平衡異常)
3 消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、下痢など)
4 循環器症状(重篤な高血圧、心不全、心包炎)
5 神経症状(中枢・末梢神経障害、出血傾向)
6 血液異常(高度の貧血症状、出血傾向)
7 視力障害(尿毒症性網膜症、糖尿病性網膜症)

2.腎機能

血清クレアチニン値
(㎎/dl)
クレアチニンクリアランス
(ml/分)
点数
8以上 10未満 30
5~8未満 10~20未満 20
3~5未満 20~30未満 10

3.日常生活障害度

尿毒症症状のために起床できないもの 高度 30
日常生活が著しく制限されるもの 中等度 20
通勤、通学あるいは家庭内労働が困難となった場合 軽度 10

血液透析(HD)

血液透析は血液を体内から出し、腎臓の代わりとなる機械を通して血液をきれいにして体内に戻します。血液透析には事前に、通常は利き手と反対の腕の手首付近に「シャント」を作成することが必要です。シャントは手術によって静脈と動脈をつなぎ、太い静脈にしたものです。

血液透析は初めに、シャント部に脱血用と返血用の針を刺します(穿刺)。動脈側の穿刺針から体外へ血液が引き出され(脱血)、血液ポンプを経てダイアライザーと呼ばれる人工腎臓に送られます。ダイアライザーの中で老廃物や余分な水分が除去され、きれいになった血液は静脈側の穿刺針から体内へ戻されます(返血)。この血液の循環を設定された時間継続して、1回の血液透析が終了となります。

腹膜透析(PD)

腹膜透析は、お腹の中に透析液を入れ、自分の腹膜を利用して血液をきれいにします。腹膜透析には事前に、カテーテルというチューブを腹部に埋め込む手術が必要です。腹腔内に透析液を一定時間入れておくと、腹膜を介して血液中の老廃物や塩分、水分などが腹腔内の透析液に移動し、血液をきれいにすることができます。

腎移植

腎移植は、他の人の腎臓を体内に移植することで腎臓の機能を回復させる治療方法で、唯一の末期腎不全の根治療法です。

献腎移植

献腎移植は脳死または心停止後の人の腎臓を提供していただき、移植します。献腎移植を希望する場合は、移植を受ける病院などを通して「公益社団法人日本臓器移植ネットワーク」に登録する必要があります。

(公社)日本臓器移植ネットワークのホームページです。臓器移植について臓器の提供者と移植を希望する人の橋渡しをする組織です。臓器提供についても詳しく説明されていますので、ぜひご参考ください。
https://www.jotnw.or.jp/transplant/about.html

生体腎移植

生体腎移植は親や子、親族、配偶者から片方の腎臓の提供を受けることです。事前に移植が可能かどうかを検査する必要があるので、臓器提供者(ドナー)となる候補者と一緒に移植を受ける病院を受診します。

臓器提供者(ドナー)は、いくつかの倫理的な条件と医学的な条件を満たす必要があります。条件の一部として次のようなことが挙げられています。

・親族(6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族であること。
・心身ともに健康な成人で意思表示ができ、自発的に腎臓の提供を申し出ていること。
・2つの腎臓が機能していて、腎臓の働きが良好であること。
・全身性の活動性感染症、治癒していない悪性腫瘍などに罹患していないこと など。

また腎臓の提供が可能かどうかを見極めるためのいくつかの検査を受けます。

・血圧などの一般的な身体所見
・血液、尿、感染症の検査
・がん検診
・腎臓の画像診断や血管の検査
・組織適合性検査 など。

医療技術の進歩によって、ドナーの腎摘出手術や移植手術自体に伴う死亡リスクは限りなく0に近い現状がありますが、術後の体調については一定のリスクが予想されます。日常生活上の注意点なども含めて、納得できるまで十分な説明を受けましょう。

まとめ

腎臓の機能が加齢の影響を受けて低下することは、ある程度は避けがたいことです。しかし、生活習慣病などによって腎機能に悪影響を及ぼすことは、予防が可能といえます。定期的な健康診断と生活習慣の見直しで、自分の腎臓を守ってあげましょう。

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