
突然激痛が起こる「痛風」。痛風は放っておいても治りません。というよりも、放っておくと痛みが慢性化して日常生活に支障が出てきます。
また、痛風の原因でもある「尿酸値」が上がることで合併症を引き起こす可能性が高まり、
・糖尿病
・高血圧
・尿管結石
・脳梗塞
・心筋梗塞
などの症状が出てくる確率もグンとアップします。
そこで今回は、痛風の経験がある方、痛風かもしれないなと思っている方、健康診断で尿酸値を指摘された方へ向けて、痛風の治療や予防に欠かすことができない「食事」について紹介していきます。
目次
痛風の原因、尿酸値を食事で下げる
尿酸値を下げるためには、お薬での治療があります。しかし、お薬と平行して毎日の食事を整えることも大切なのです。
規則正しい食事をこころがけよう
規則正しい食事とは、どのようなことなのでしょうか。
この場合に言われている「規則正しい食事」とは、肥満を解消するための食事です。
具体的には
・栄養バランスの良い食事
・3食きちんと食べる食事
栄養が偏った食事では、健康な体を作ることができません。いくらお薬を飲んでいても、効果がいまひとつ出てこないこともあるでしょう。
また、不規則な食事は肥満やストレスの元でもあります。
寝る直前にラーメンとライスを食べ、ゴロンと横になってそのまま寝るなどは、肥満もさることながら様々な病気の元となる「メタボ」の原因にもなりかねません。
一般的には「食事療法」という言葉もありますが、難しく考えるよりも上の2つを意識して、毎日の暮らしへ取り入れることが大切です。
STOPメタボ!で尿酸値を上げない食事の工夫
尿酸値を上げないためには、メタボ予防を考えた食事にヒントがあります。
そこで毎日の暮らしから、メタボ予防ができる食事の工夫を洗い出してみました。
■朝食
朝は忙しい。だから朝食は取らない。このような方がいらっしゃいます。
気持ちは良くわかります。仕事や学校へ向かう時間が決まっていますから、食べている時間がないことは理解できます。
しかし、朝食をとらないと「太りやすく」なるのです。というのも、朝食を抜くということは、前日の夕食が最後の食事です。
体は半日以上何も栄養分を手に入れていません。このような状態で、昼食を食べると、胃腸は最大限の力を使って栄養分を吸収しようとします。
糖質や脂質の吸収は促進され、エネルギーとして使えなかった分は内臓脂肪や皮下脂肪として体の中に貯まり始めます。このようなことが繰り返されると「肥満」を招き、メタボを指摘される体型に近づきます。
そこで朝食を上手にとる工夫としては言えるのは、
・朝食をぬかない
・糖質や脂質の摂取を減らす
・食欲がないときでもヨーグルトや野菜ジュースなどをとる
このようなことです。特に難しいことはありません。少しだけでも早く起きるだけで出来ることばかりです。また、早く起きるためには、いつもよりも30分早く眠るようにするのがおすすめです。
■昼食
お仕事されている方、お家にいらっしゃる方。
どちらも手作りの昼食を食べることは簡単ではありません。
お仕事中ですと外食になりますし、お家にいても自分一人だけの分を作るのは面倒なので、菓子パンやお弁当になりがちです。
また、会話しながらゆっくり食べることもあまりありませんので、どうしてもモクモクと早食いになってしまう傾向にあります。
そして早食いすると、満腹感が遅れてやってきますから、どうしても食べ過ぎてしまうこともあります。
そして外食やお弁当を買った場合に多いのが「揚げ物」が必ず入っていること。
このようなことをふまえて昼食を上手にとる工夫としては言えるのは、
・早食いしない
・お腹いっぱいまで食べない
・揚げ物は避ける
ということです。
特に外食で「丼物」を選ぶとき、全部食べると多すぎるはずです。ご飯を最初から少ない目にしてもらうがおすすめです。
■夕食
一日の疲れから「ガツン」と脂っこいものを食べたくなります。またアルコールを飲みたい方もいらっしゃるでしょう。
そして日本での習慣として夕食に重きをおく傾向があることも気をつけないといけません。
夕食は寝る前に食べます。それも残業があった場合、夕食を食べてから2時間くらいで就寝する人もいると思います。
これでは食べたものが使われず、吸収されるばかりになります。まして夕食に尿酸を発生させるプリン体(ビールなどに多いです)を多くとった場合なら、尿酸が過剰に増えてしまい尿酸値を上げることにもつながります。
このようなことをふまえて夕食を上手にとる工夫としては言えるのは、
・脂っこいものは避けましょう
・野菜を多めにとりましょう
・寝る3時間前には夕食をとりましょう
・満腹感が出るまで食べないようにしましょう
・プリン体を多く含んだ食品は控えめにしましょう
食事は栄養バランスが大切です
例えば痛風なら「食べてはいけないもの」として「プリン体」を含む食品はNGと言われることがあります。
しかし食事は全体の栄養バランスを考えることが必要です。確かに痛風の場合「プリン体」を過度に多く取りすぎると体に良いことはありません。尿酸も貯まりがちになるはずです。
でもここで知っておいていただきたいことは、プリン体を含んでいる食品には、同時に体に必要な「たんぱく質」も豊富に含んでいる物があるということです。ですから、
・プリン体を含んでいる食品はNG
・塩分はNG
・脂質はNG
とするのではなく、どれもバランス良く取ることを考えてもらいたいのです。
例えば鶏卵ですとプリン体はほとんど含まれていません。だからといって過剰に鶏卵ばかり食べると、鶏卵に含まれているコレステロールが原因で動脈硬化を引き起こす可能性を高めてしまうかもしれないのです。
そしてここが肝心ですが、じゃあコレステロールは全く取らない方がいいのかというと、コレステロールは体の健康に欠かせない栄養素の一つです。
ということで、どの栄養素も極端にとらないで良いバランスを心がけることが大切なのです。
ただし、痛風の発作が起こって痛みが激しいときは、プリン体の多い食べ物は避けた方が良いでしょう。以下にプリン体を含んだ食品の例を記載しておきますので参考にしてください。
プリン体の多い食品と少ない食品
プリン体の量 | 食品例 |
極めて多い(300mg~) | 鶏レバー、マイワシ干物、イサキ白子、あんこう肝酒蒸し、カツオブシ、ニボシ、干し椎茸 |
多い(200~300mg) | 豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、マアジ干物、サンマ干物 |
少ない(50~100mg) | ウナギ、ワカサギ、豚ロース、豚バラ、牛肩ロース、牛肩バラ、牛タン、マトン、ボンレスハム、プレスハム、ベーコン、ツミレ、ほうれんそう、カリフラワー |
極めて少ない(~50mg) | コンビーフ、魚肉ソーセージ、かまぼこ、焼きちくわ、さつま揚げ、カズノコ、スジコ、ウインナーソーセージ、豆腐、牛乳、チーズ、バター、鶏卵、とうもろこし、じゃがいも、さつまいも、米飯、パン、うどん、そば、果物、キャベツ、トマト、にんじん、大根、白菜、ひじき、わかめ、こんぶ |
出典:日本痛風・核酸代謝学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版」
URL:http://www.tufu.or.jp/pdf/guideline_digest.pdf
たんぱく質は丁寧に取ろう
体を作る栄養素といえば「たんぱく質」。筋肉や皮膚をはじめ、血液やホルモンなど、体に欠かすことができない組織を作る源となっています。
ですので、痛風や高尿酸血症の場合でも、たんぱく質は丁寧に取るようにしましょう。では、どのような食材からたんぱく質を取れば良いのかというと、代表的なのは
・牛
・豚
・鶏
これらのお肉です。しかしここで注意しておきたいことは、これらのお肉には動物性の脂肪が含まれていることです。とりすぎは血中コレステロールを増やす働きがありますので気をつけておきましょう。
そこで、これらのお肉からたんぱく質をとるためには、脂分の少ない部位を選ぶようにすると良いでしょう。
牛や豚なら「ヒレ」や「モモ」。鶏なら「ササミ」。こういった部位ですと脂分が少ないです。
また、たんぱく質の源としては、お魚も豊富に含んでいます。他には大豆や卵もたんぱく源になります。
ひとつの食材からたんぱく質をとろうとすると、偏りが出てしまいますので、いろいろな食材からたんぱく質を適量とるように考えるのが良いでしょう。
脂質も実は必要です
脂は悪者になりやすい栄養素です。しかし体には脂も必要。
そこで積極的に取り入れたいのが「不飽和脂肪酸」と呼ばれる脂です。
不飽和脂肪酸は次のような食品から取ることができます。
・オリーブ油
・アーモンド油
・菜種油
・えごま油
・しそ油
・お魚(いわし、さば、さんま、まぐろなど)
・紅花油
・ひまわり油
・コーン油
・ごま油
反対に飽和脂肪酸である、豚や牛の脂身やバターは控えておくのがおすすめです。
脂分といっても、このように摂取した方が良いものと、控えておきたいものあります。まずは手に入りやすい「オリーブ油」や「お魚」から始めてみてはいかがでしょうか。
尿酸の排泄を助ける食品とは
尿酸の排泄を促すためには、尿をアルカリ化すると良いと言われています。
そこで、きのこや海藻などを取ることで、尿のアルカリ化を促進できるでしょう。
また、ビタミンCも尿酸を尿へ排泄するのに役立つと言われています。
そこでビタミンCと言えば果物を思い浮かべると思いますが、ちょっと待ってください。
果物はビタミンCを多く含んでいますが、同時に糖分も多く含んでいます。ビタミンCを取るために食べ過ぎると、糖分まで一緒に摂取することになり、栄養バランスを考えると良い状態とは言えません。
そこで糖分がほとんどなく、ビタミンCが豊富な食材として
・パプリカ
・芽キャベツ
・ブロッコリー
・カリフラワー
・キウイ
などから摂取するように心がけましょう。
食事は食べ方も工夫するとより効果的
食べ方を工夫することで、必要な栄養素を取り、必要でない部分を最低限に抑えることができます。
お肉は5つの調理法を使おう
お肉を食べるとき、たまには脂が多い部分も食べたいものです。そこで通気の調理方法で脂肪分を減らすことが期待できます。
(1)網焼きする
余分な脂肪分が落ちていきます。
(2)ゆでる
調理するまでに一手間かけてお肉をゆでましょう。脂分が抜けます。
(3)フッ素加工のフライパンを使う
同じフライパンで焼くにしても、使う油の量が少なくて済みます。
(4)薄味
濃い味付けが好きな方も多いですが、ここは薄味で素材が持つ味を楽しみましょう。
(5)ドレッシングは少な目に
ドレッシングやソース、マヨネーズなどは、少ない目に使うように意識しておきましょう。すぐ使える場所に置いておかないのも工夫のひとつです。
肥満を防ぐ食べ方を知ろう
お腹が好いているとき、多くの人は主食と主菜から食べ始めることだと思います。
しかし、肥満を防ぐ食べ方としては、普段の食べている順番と逆が正解なんです。
汁物 → 副菜 → 主菜 → 主食
先に汁物や野菜をお腹に入れることで、血糖値の上昇も抑えられます。そして満腹感も得られやすいので、食べ過ぎを防ぐことにも役立ちます。
あとは、
・ゆっくり噛んで食べる
・腹八分目にする
・だらだらと何かをしながら食べない
こういったことにも気をつけておくと、肥満を防ぐことに役立ちます。
外食での賢い食べ方
もっとも意識しておきたいのは、主食である
・ごはん
・麺類
この2つを最初から少な目にしておくことです。お店で注文するときには最初から「半分にしてください」と言っておくのが良いですね。
次に賢く食べる方法はというと
・カツ丼:汁がしみこんでいない部分を食べましょう
・天ぷらそば:衣は半分ははがし、つゆは飲まないようにしましょう
・パスタ:トマトソース系がおすすめ、食べる量は半分で
・牛丼:つゆだく、紅ショウガ大盛りは厳禁です
・ラーメン:つゆは飲まないようにしましょう
・カレー:ご飯は少な目がおすすめです
外食で体を意識して食べるのは難しいですが、もっともはじめやすいのは量を減らすことです。
コンビニ食の賢い食べ方
コンビニ食は高エネルギー食品が多いです。そして高塩分の傾向もあります。
そこで賢く食べる方法はというと、
・助六すし:味がすでについているので「しょうゆ」を使わない
・ざるそば:ヘルシーに見えますが「つゆ」をつけすぎないで食べましょう
・お弁当:ごはんを残す工夫をしましょう
・サラダ:レモン果汁やコショウでシンプルに食べたいですね
コンビニ食には野菜が不足していますので、サラダをプラスして食べるように心がけたいですね。
宅配弁当という賢い方法もあります
お仕事やお家で食事するとき、宅配弁当を利用するという方法があります。
それもコンビニ食や外食チェーンが宅配しているお弁当ではなく、体のことを考え、栄養バランスのとれた「配食」を利用するのがベストです。
最近の配食は療養中の人や介護中の人のものだけではなく、糖尿や高血圧、痛風などが気になる方にあったお弁当もあります。
私たち「配食のふれ愛」では、原材料にこだわり栄養バランスのとれた食事をお弁当にしお届けてしています。今なら無料試食キャンペーン中ですので、お気軽にお試しいただけるようになっています。
お仕事場には難しいかもしれませんが、お家ならお休みの日などに利用してもらうと、毎食考えないといけない献立も楽になると思います。
痛風と食事対策まとめ
痛風は食事や食べ方を工夫することで改善へ向かうことでしょう。
また、食事は毎日のことですから、私たちの体にもっとも影響する部分でもありますので、丁寧に栄養分をとってバランスの良い体にしておきたいところです。
今回は食事で心がけたいことや食べ方の工夫についてお伝えいたしました。ぜひ参考にしていただき、あなたの食生活を今まで以上に整えていただけると幸いです。