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HOME > コラム一覧 > 高齢者の食べない理由と困ったときの対処法 / 更新日:2019年4月10日
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高齢者の食べない理由と困ったときの対処法

高齢者の食べない理由と困ったときの対処法

高齢者は、さまざまな理由で食事の摂取量が減少することがあります。もちろん加齢とともに自然に減っていくこともありますが、極端に少なくなったり食べなくなるのは心配です。

食事が摂れない、食べたくない理由を自分から伝えてもらえれば対処は可能です。しかし特に認知症の高齢者の場合は、食べない、食べたくない理由を正確に訴えることが難しくなります。

認知機能の低下が食事に及ぼす影響

認知機能の低下は、食事の場面において広く影響を及ぼします。スムーズに食事が摂れない原因は体調、身体機能の変化、精神面の健康、食事の環境など多岐にわたりますが、認知症の場合に最も困ることは、本人が正確に理由を訴えることが難しいことではないでしょうか。

言葉ではうまく伝えられなくても、何かサインを発しているはずです。周囲の人が食事の時の様子を見て、食べない理由についていろいろな面から考えてみることが必要です。

食事時間に覚醒しないで眠ってしまう

食事中の覚醒は、安全に食事を摂るために非常に重要です。人には一日周期の体内時計があり、朝に目が覚めて夜眠るというサイクルが体内時計によって調節されています。

高齢者はこの体内時計が前倒しにずれてくることがわかっています。また、体内時計に作用して眠りをコントロールするメラトニンというホルモンが、高齢者は減少するといわれています。このように加齢に伴ういろいろな現象によって、高齢者は睡眠に障害がおこりやすくなっています。

睡眠時間が短いことだけではなく、浅眠(眠りが浅い)や中途覚醒(夜中に目が覚める)などによっても、日中に強い眠気がおこることがあります。

昼夜逆転

昼夜逆転の傾向がある場合は、まず昼間の活動量を上げるようにしましょう。眠った時間にかかわらず、朝は同じ時間に起きるようにします。朝は太陽の光を浴び、日中はできるだけ活動的に過ごします。昼寝は短時間のうたたね程度にとどめ、寝床で横になるのは我慢していただきましょう。
睡眠剤などを服用している場合は、医師に相談しましょう。

残眠

睡眠剤などを服用している場合は、薬の影響が朝まで残ってしまうことがあります。睡眠を調整する薬にもいろいろな種類があり、薬の作用する時間も異なります。薬の影響が朝まで
残っているようなときは、医師に相談しましょう。

疲労

高齢者は食事に疲労が伴うこともあります。特に自分で食べるときの動作に困難があったり、摂食嚥下機能に障害がある場合は、私たちが思っているよりも食事は疲れる行為なのかもしれません。一般的に食事に集中できる時間は20~30分といわれます。個人差はありますが、適正な時間で食事を終えられるように工夫しましょう。

認知症の睡眠問題

アルツハイマー型認知症の場合、同年代の人と比べてもさまざまな睡眠問題がみられることがわかっています。連続して眠ることが困難になったり、睡眠と覚醒のリズムが不規則になりますが、残念ながら認知症の方の睡眠障害に有効な薬物療法は知られていません。
夜間の眠りと日中の覚醒を良好に保つために、次のことに注意しましょう。

睡眠環境 行動 治療
1 室温を適正にする 午前中に日光を浴びる 痛みのコントロールをする
2 照度を適正にする 食事時間を規則的にする 認知症の服薬をコントロールする
3 入床時間を規則的にする 昼寝は避ける 睡眠剤の服薬をコントロールする
4 起床時間を規則的にする 夕食後の水分摂取は控える 排尿のコントロールをする
5 寝室は朝に日の光が入るようにする アルコール、カフェインの摂取を控える

食事を食べ始めないとき

食卓に食事が配膳されても食事を食べ始めないことがあります。食事の習慣は、それまでの職業や生活習慣などによっても特徴的なことがあります。食事時の様子やこれまでの食事習慣から、どうして食べ始めないのかを考えてみましょう。

環境刺激

認知機能に低下がある場合は特に、食事をする場所の環境刺激によって食事に集中できないことがあります。

1.音

テレビやラジオの音や人の話し声、外の車の音、工事の音などで気が散ったり、不安になったりすることがあります。人は無意識のうちに周囲の音を選択して、自分が必要な音を集中して聞き取っていますが、認知機能の低下により音の選択が困難となることで混乱してしまいます。周囲の物音は静かに、音楽を流す場合は落ち着いたものを控えめに流しましょう

2.動くものや人

テレビの画面や、室内で動いている人も食事に集中しない原因となります。周囲を人が動いていて忙しそうにしていると「手伝おう」と思って食卓を離れる場合もあります。食事の時間は周りの人も一緒に食事を摂ったり、いったん座って食事を見守る方が、食事に集中していただけます。

3.明るさ、室温

快適な室温と適度な明るさがあることは、安心感につながります。室温はエアコンの調整だけはなく衣類も調節しましょう。着慣れていて、そでや首回り、腹部などが邪魔になったり圧迫しないような服装を選びましょう。

部屋の明るさは食卓の見えやすさと関係があります。高齢者の場合、視力が低下している原因によって見えやすい明るさは異なることがあります。

4.一緒に食べる人

周囲に一緒に食べる人がいる場合は、やはり気になって食事に集中できないことがあります。特にご家族以外の人と一緒に食事を摂る場合は、周囲の人との相性や食べるペースが同じくらいの人の方が、最後まで落ち着いて食事が摂れるようです。初対面の人がいたり、その場所に慣れない人の場合は、第三者が声をかけてお互いを紹介したり、間に入ることが必要なことがあります。どうしても周囲の人が気になってしまう、怒りだしてしまうような場合は、一人で食事が摂れる環境が必要な場合もあります。

食べ方がわからない

食事に注意が向いていても、食卓の環境によって混乱していることも考えられます。食器に手を伸ばしてみても食べなかったり、食器を並べ替えてみても「こんなに食べられない」などと拒否をすることがあります。「私のごはんじゃない」「お金をもっていないから」などの理由を訴えるケースもあります。

1.食事に必要なもの以外は置かない

食卓には食事に必要なもの以外は置かないようにしましょう。食卓花や箸立て、塩・こしょう・醤油のような調味料も、食事時の様子によっては置かない方がよい場合もあります。給食のようにトレイの上に食器を置いたり、ランチョンマットを敷くと「自分の食事はこの範囲」ということがわかりやすくなります。お弁当箱に詰めるのも効果的なことがあります。

2.わかりやすい食具

箸やスプーンなどの食具も、本人専用の物がよい場合もあれば、割り箸のように誰でもわかる一般的なものがよい場合もあります。使いやすさを優先して変わった形の自助食器などを用いると、食具と認識できないこともあります。置いてあっても自分からは手を出さない場合は、手に持たせて差し上げるとすぐに食べ始めることは少なくありません。配膳時のちょっとした介助で、そのあとはスムーズに食事を終えられることがあります。

3.食器やテーブルの色

白いお茶碗にご飯やお粥をよそっても「中身がわからない」ということはよくあります。また、食器の内側や底、縁に模様が描かれている場合は、模様と食べ物の区別がつきにくいことがあります。テーブルと食器、食器と中身の食べ物のコントラストがはっきりしていると、視力の低下している高齢者にも食べやすくなります。

4.混乱しない品数

少しずつ多くの食品数を食べることは、栄養面を考慮すると大切なことではありますが、皿数が多いことで全体量が多く感じられ「こんなにたくさん食べきれないから・・」と食事に手をつけないことがあります。どこからどこまでが自分が食べていい食事なのかがわからなくて、手を伸ばせないこともあります。

そのような場合は、おにぎりとみそ汁だけを提供すると、すんなりと食べ始めることがあります。摂食嚥下機能に問題がなければ、丼形式やワンプレートの盛り付けにすると食べやすい場合もあります。

食事が見えていない

食事が見えていないために食べ始めないことはよくあります。高齢者は疾患により一部の視野が欠けていたり、白内障などによって薄暗くて見えにくいと感じていることもあります。視力が徐々に低下している過程では、本人には見えにくくなったという自覚が少なく、特に認知症がある場合には気づかないうちに症状が悪化していることもあります。

いつも同じ場所の器に残食がある、上下、左右のどちらかに偏って残食がある、同じ場所の食器を倒す、などがある場合は視野の欠損が疑われます。見える範囲を確認し、見える場所に配膳するようにしましょう。配膳時に献立の内容と合わせて器の位置を説明し、全体が見えていることを確認しましょう。

晴天の日に「曇っている」や、明るい部屋の中で「電気がついていない」などと訴える場合は、視力の低下があるかもしれません。食べ残しだけではなく食べこぼしが増えたり、食事に顔を近づけるために食事の姿勢が前かがみになることがあります。

箸でつまんだりフォークで刺したりすることが難しい場合は、咀嚼機能に問題がなくても、食材をスプーンですくいやすい大きさや形状にしてみましょう。手に収まる大きさの器を用意して持っていただき、食事の進み具合に合わせて取り分ける介助を行うことも有効です。

他にやりたいことがある

食事よりもやりたいことがある場合は、食卓に落ち着いて座っていられず、食事を食べ始めないことがあります。

「買い物に行きたい」「孫を迎えに行かなくちゃいけない」など、今まで食事の前に行っていた習慣となっている行動がある場合があります。一方的に「先に食事をしましょう」と話しても、納得してはもらえません。どうして食事よりも先にやらなくてはならないのか、よくお話を聞いてから再度食事の時間であることを伝えましょう。納得していただけない時はいったん食卓を離れて気分を変えてから、再び食事を勧めてみます。どうしても食卓に着いていただけない時には、食卓でなくても食べられるようにおにぎりやパンなどを提供してみましょう。十分に食べられなくてもその食事は終了とします。

1回の食事にいつまでも固執してしまうと、次の食事に影響してしまうこともあります。

食事を拒否するとき

食事を拒否する原因は、体調不良や精神面の不調などさまざまです。眠気があったり、一時的に機嫌が悪いようなときは、お腹が空けば次の食事はスムーズに食べることもあります。問題となるのは継続して食事を拒否する場合です。

食事そのものを拒否する場合だけでなく、主食だけを拒否する、副食だけを拒否する、水分だけは摂る、お菓子は食べる、などいろいろなケースがあります。
食事時の様子や会話の内容などに注目し、多方面から原因を探ってみましょう。

全く食事が摂れなかった場合、疾病によっては服薬を避けなくてはならないこともあります。反対に、食事が摂れなくても服用しなくてはならない薬もあります。食事が十分に摂れないことが頻繁になった場合は、服薬について医師に相談しておきましょう。

排便コントロールが不良

誰でも、便秘や下痢など排便に不調があるときは食欲が低下するものです。便秘が重症化すると、腹痛や吐き気がすることもあります。ひどくなる前に便秘薬を使うのは決して悪いことではありませんが、薬が効きすぎてお腹が痛くなったり、便が緩くなってしまうのも食欲が低下する一因となるので注意が必要です。

排便の習慣は個人差が大きいので、これまでの排便習慣を把握しておくことは大切です。毎日排便があった人は1日排便がないことでも不快感があるかもしれませんし、5日に1回でも定期的に排便があり、本人に苦痛はないこともあります。

下痢の場合は、感染症の可能性もあるため早期に受診をしましょう。下痢が継続することで脱水症状を招くこともあります。下痢が継続し水分の摂取量も減少している場合は、点滴などの治療が必要になることもあります。

口腔内の不調

歯や歯ぐきに痛みがある、義歯に不具合がある、口内炎がある、など、口腔内に問題がある場合は歯科受診をしましょう。義歯が原因で痛みがある場合は、歯科受診の日まで一時的に義歯の使用をやめ、お粥や煮込みうどんなど、やわらかくて消化の良い食事にします。栄養量の不足が心配されるときは、食べやすい形態の介護食や栄養補助食品を取り入れてみましょう。

薬の副作用による食欲不振

高齢者は複数の薬を処方されていることがあります。多くの薬には、副作用として食欲不振が挙げられています。薬の影響も個人差が大きいため、薬が追加されたり処方の変更などをきっかけに食欲が低下したような場合には、医師に相談してみましょう。

周囲の人や環境への不信感

食事の場面に一緒にいるのがご家族ではない場合や、その状況に不安があるような場合は食事を拒否することがあります。食事の準備をしてくれる介護ヘルパーさんが変わったり、初めてデイサービスを利用するなど、食事に関わる人や場所が変わることで食事に不信感を持つことがあります。「お金を払えないから食べない」「毒が入っている」などと言ったり、険しい表情で黙ったままということもあります。

食事環境の変化に慣れることで自然に解消されることもありますが、認知機能の低下が
ある場合は特に、これから起こる変化についてあらかじめ説明をしておくことも大切です。突然変化が起こるよりも、事前に説明をして納得していただくことで変化に対応しやすく、信頼関係が築きやすくなり、食事の環境にも馴染みやすくなるといえます。

何も食べたくない(まとめ)

高齢者が食事を摂らないとき、あれこれ方法を試しても食べていただけなかったり、怒らせてしまうこともあります。そんな時は、一緒にいるご家族も心配と困惑で不安になってしまうかもしれません。栄養補助食品などをうまく利用し、「好きなものだけでも食べられれば大丈夫」と少し気を楽に持つことで、いつの間にか解決することもあります。

急激に体重が減少したり、水分も摂れないなど、体調に変化があった場合は早期に受診をおすすめします。

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